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社内に掲げられた、福沢諭吉の心訓
鑑定といえば、書画や骨董品などをイメージするが、それと同じように不動産にも鑑定評価がある。例えば、個人の資産を会社へ移す、または、会社の資産を個人へ移すといった代表者個人と法人との評価。売り主と買い主が同一人物だと、価格を高め、低めにコントロールすることができ、税務署から贈与と見なされることもある。そこへ登場するのが不動産鑑定士。適正な価格の根拠として鑑定評価書が必要になってくる。
遺産分割の場合も、わかりにくい不動産の時価を評価したり、法人であれば、融資に関わる担保評価のお手伝い。その他、競売、固定資産の評価など公的な仕事も多く、新聞やTVで報道される地価公示は、不動産鑑定士の判断が基準になっている。
ひと言でいえば、「不動産の価格を判定する」のが仕事。鑑定することで一定の価値が保障され、その証明である不動産鑑定評価書が、交渉材料や立証材料として利用される。
鑑定評価の最大のポイントは、高め一杯、または低め一杯と、依頼人の目的にあわせた根拠づけができるかどうか、藤井社長はこう語る。
「鑑定評価の手法を大きくわけると、土地や建物の価格を積み上げるものと、収益から割り出すものと二通りあります。両方の価格を出し、そのウエイトが10ー0なのか、7ー3なのか、半々なのか、どちらを重視するべきかを判断する。例えば、古い建物がある土地の場合、使用価値なしと判断すれば、購入者の建物解体費用を控除し、ありと判断すれば、建物の価値をプラスする。広い土地を評価するにしても、希少性としてプラスするのか、大きすぎて事業者が限られるから低くかけ目を入れるのか、鑑定士の見方で金額に幅が出てくるのです」

大阪の南港にあるWTCという建物を大阪府庁が買ったのは周知の通りだが、安く買いたい大阪府と、高く売りたいWTC。その鑑定評価額の差は、58億円もあったというが、不当鑑定にあたらない範囲で適正な根拠づけができるかどうかが、鑑定士の腕の見せ所だ。
藤井社長の強みはスピード。依頼を受けてから金額を出すまでわずか1週間。通常1ヵ月という大手の調査会社に対し4倍のスピードでこなす。相場は変動するだけに、「今」しか通用しない評価には賞味期限がある。金額が出た時点で作業の7割は終了。しかし、依頼主に価格を伝え、鑑定結果に満足を得られなければ、フィーは受け取らないという。「鑑定期間1週間、費用一律、着手金なし」と、型破りの藤井スタイルは、余計な手間を省いて鑑定だけに集中する。

「都市銀行系の不動産会社に勤めていた頃、上場企業の工場や倉庫など、北海道から九州まで全国に点在する不動産をまとめて1冊にするにはスピードが必要でした。財務の方から2週間以内で・・・と言われチームで動く。この時の経験が生かされていると思います」

実は藤井社長、この時代に経験した不動産部門での営業がルーツとなり、総額10億円の賃貸マンションを保有・運営しつつ建売住宅やマンション等を販売する不動産売買業が本来の顔である。まるで雑務をこなすかのように、飄々と鑑定の仕事をこなしているが、両方に共通していえるのはスピードが必要だということ。鑑定士としての経験がプラスとなり、不動産売買での判断も磨かれる。この相乗効果こそ、藤井社長最大の強みではないだろうか。

取材:2014年 7月24日

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