syn_top_btn
tk_top_btn
*事例の特定を避けるため、このページには一部フィクションが含まれています
もし、あなたが、なんらかの形で不動産を手にしたら・・・
恐らく、税金対策が頭をよぎるのではないだろうか。
世の中には、節税対策を謳い文句に、
土地活用プランの「提案者側が儲かる」商品・サービスが多い。

法人でも、個人でも、財産形成を考える上で税コストの管理は重要だが、
それ以外の視点も含め、最良のスキームとキャッシュフローを考える。
ここに「依頼者側の視点に立った」ブレーンの強みがある。
もちろん、税務計算は、会計士・税理士の仕事だが、
総合的なプロデュースの過程で発揮される専門家の知識と判断が、
単に税の最小化だけではなく、依頼人の超長期的発展の鍵を握る。
そんな「ブレインパワー」で解決した髙橋秀彰綜合会計士事務所の
2件のベストプラクティスを紹介する。
ティ・プラネットで
冨岡社長、雅子夫人と3人で作戦を練る
リアーズ藤井社長と緊急案件を詰める
中田社会保険労務士事務所で
中田先生の意見に耳を傾ける
吉岡周三事務所にて
周三先生、大地先生との相談案件の摺り合わせ
マックスエンジニアリングの澤田社長と
進行中の調査の確認
ライフプランナー片山さんとは
頻繁に情報交換
近畿圏内のある地域、土地区画整理事業の換地直後に市街化調整区域から市街化区域に用途地域が変更され、活用困難な田畑から駅近くの広大な更地に大化けした土地があった。

「先祖の虎の子の土地なので、手放したくない。どうしたらいいのか・・」
ご両親が健在で、子供は5人姉妹という一族から相談を受けた髙橋が話を持ちかけたのは、どこよりも早く、クライアントのリクエストに沿ったプランを提案してくれるティ・プラネットの冨岡社長。規模が大きい土地とあって、多くの会社が次々と営業攻勢をかけていた。その内容を見ると、銀行をともなったハウスメーカーからの賃貸マンションなどの提案ばかり。銀行から借金して、建物を建てて、家賃収入で返済していくというもの。
確かに、満室が続けばシナリオ通りにいくかもしれないが、しばらくすれば空き室がではじめ、老朽化がすすみ、10年後には外壁などリフォームをしなければならない。そのとき、空き室が多ければ家賃収入がカツカツで、手を入れることはできず、返済も滞り、売却へまっしぐら・・・これが大概の賃貸マンション経営の現実的な姿であった。しかし、こうしたネガティブ情報は、なかなか表に出ない。多くの人は、「借金したら、相続対策になります」という宣伝文句に惑わされ、アパート経営に夢を抱いてしまう。

ハウスメーカーは建物を建ててほしい、銀行は資金を借りてほしい・・・そうした自分たち都合の提案に、結果として地主さんが土地を手放し泣き寝入りする事例を見て来た髙橋と冨岡社長、二人のベクトルは一致していた。その提案とは一般定期借地権のマンションプラン。部屋の稼働状況を気にすることなく修繕の必要もない。土地を貸すだけで、毎月安定した地代が入ってくるというもの。手堅く地味に見えるが、競合するプランのなかから、依頼主の心を掴んだのは、冨岡社長の抜きん出たプランだった。

「等価交換、賃貸マンション、駐車場、売却、定期借地権の5つのパターンで、メリット・デメリットを出し比較検討、法的な用途地域の規制も調べるなかで、定期借地権がベストだと判断しました。定期借地権付分譲マンションが得意なデベロッパーに声をかけ、最終的に決まったのが条件の良かった某社のプラン。この案件ではまとまった金額の地代が最初に入り、なおかつ、毎月、別に地代が入ってくるという内容。つまり相続を受けた子供にも、煩わしさなく安定した地代が入るんです」(冨岡社長)

さらに期間満了後、子供の代で改めて土地活用を行うことができるという画期的な提案であった。司法書士による公正証書を手に、成約を取り付けた冨岡社長からバトンを受けた髙橋。土地区画整理事業の換地直後なので、固定資産税評価額も路線価もついていない。不動産鑑定士として信頼の高いリアーズの藤井社長に鑑定評価を依頼し、非常に難易度の高い税務の検討がはじまった。一般的定期借地権というのは、相続税評価上は逆転するタイミングがあるという。新しい税制で不備も多いなか、髙橋が考えだしたのは法人化のスキーム。最初に入る資金があるので、正当に不動産事業を維持存続発展させる方針で、合理的な経済活動の一環として法人化するという考え方。資産税、不動産所得、法人税その他、ありとあらゆる税の検討をしないとやり方一つで巨額の税額が動いてしまう。

「あとは、ご一族の安定的な事業承継のため、今後のあらゆる不測の事態を想定し、生命保険の活用等々の幅広い視点からリスクヘッジの検討をしていきます」(髙橋)

これまで、定期借地権のマンションが普及しなかった理由は、億単位でもらう保証金は50年後、60年後に返金しなければならず、権利金は所得とされ、一発課税がかけられていたから。税制が改正されたことで一発課税がなくなり、土地を残したいという依頼人にぴたりとあてはまった。入ってくるものは冨岡社長が考え、出て行くものは髙橋が考える。この組み合わせだからこそできたこと。冨岡社長は、フィニッシュした今でも依頼人のところへ顔を出すという。

こうして、田畑が整地され、価値ある土地に生まれかわるだろう歴史の瞬間に、それぞれの地主さんが自分の思いを形にした。アパート経営にのった人、商業ビルを建てた人・・・数十年後、一体この辺りはどうなっているだろうか。まさに、それぞれの判断の真価が問われるときだ。
社労士の中田先生と髙橋の共通の客先である某人材派遣の会社へ、厚生労働省から通達が届いた。そこには、「この4月から、許可有効期間の更新手続きの内容が変わった」と記してある。認可の更新の手続きは通常でも2ヵ月かかるところ、すでに、1ヵ月を切っていた。

やたらと法改正が多い派遣産業。当時の民主党政権時代、業界への風当たりは強く、派遣会社は苦労の連続だった。派遣の許可は5年に一度の更新が必要で、それまで資産要件の証明は簡単な手続きで済んでいたが、派遣の新法案が通ったことで、突然、資産要件等が厳しい内容に変わっていた。

「今から、どうやって対応すればいいのですか」

労働局へ直談判に行った中田先生は、担当者の返答に要領を得ない。調べてみると、公認会計士または監査法人の監査証明が必要な場合もあるということがわかった。

「監査法人の監査は1ヶ月ではできませんよ。どうなるんですか」
「その場合は、更新できません」
「派遣できないじゃないですか!」

大手の監査法人の監査が必要だと思っていたところ、個人の公認会計士でも可能ということを知り、すぐに髙橋のもとへ連絡。
「できますよ。1ヵ月でなんとかしましょう」・・・早速、監査が開始された。

たまたま、厚生労働省のホームページに「12月28日付けで労働者派遣法施行規則が改正されました・・・」という文章を見ていた中田先生が、客先に労働局からの書類を探してもらうと、やはり、変更の詳細が書かれた通知が見つかった。
そこには、「ある資産要件を満たしていない場合は、増資をしてから、監査証明書を出す」とあり、グループ5社のうち4社が満たしていない。一刻を争う状況下で、増資、監査をこなし、からくも危険な橋を渡ることができたのである。

「1ヶ月程で髙橋先生に監査していただいたのですが、この連携でなければクリアできませんでした。増資するにしても資金がなければアウトです。あのときの数週間は寝られませんでした・・・」(中田先生)

労働局への提出は、なんと一日前。最短の監査と更新手続きとなった。監査証明をつけた更新は、恐らく中田先生が大阪1号である。

ブレインパワーは無限大
二つの事例を紹介したが、宅地建物取引士の冨岡社長をはじめ、司法書士の吉岡先生、不動産鑑定士の藤井社長、土壌汚染調査に澤田社長と、不動産取引関係ではブレーンの力が結集される。買い手探しから、法人の設立または存続の要否、借入金の借り換えで金融機関を競わせ、条件勝負に持っていく等々。どう組み替えて、依頼人を救うか・・・
さらに、中小企業の経営者や資産家に欠かせない生命保険はライフプランナーの片山清さん、企業の労働環境の向上や法的なリスクヘッジは社労士の中田先生と、個人、法人の相談相手となって各分野の専門家が助言。まさに、難問に立ち向かう救助隊だ。

「顧問会計士(税理士)は自らは経営者でもないし、巨額の資金が動く不動産取引の当事者でもないのですが、楽団のなかにあって唯一音を出さない指揮者みたいなもので、『こっちに向かいましょう』と進路を指し示す道しるべです」(髙橋)

依頼人&髙橋ブレーンは、大勢のオーケストラというよりも、数名のコンボバンド。オーケストラは一人ひとりの個性が目立つわけではないが、コンボバンドはそれぞれの奏でる音が常に聞き取れる。個性があるからこそ成立するチームであり、チームでなければできないことを、やっているのである。
今号の特集「ブレインパワー」とは、専門家の頭脳集団を表現しているが、
タイトルには<ブレイン>を使用し、本文では<ブレーン>とさせていただいている。